ホワイトニング前に知りたい!種類別に見るホワイトニングの効果や持続期間
監修:歯科医師 安藤壮吾
笑った時に見える白い歯は、人と接する時の印象に大きな影響をもたらします。そのため、現在ホワイトニングを希望される方が年齢や性別を問わず増加しているのです。しかし、実際の効果や持続性について不安を感じる方も少なくありません。
今回は、ホワイトニングを始める前に知っておくべきことを分かりやすくお伝えします。
ホワイトニングは種類ごとで効果が違う?
ホワイトニングには、「ホームホワイトニング」「オフィスホワイトニング」「デュアルホワイトニング」の3種類があります。
ホームホワイトニング
この方法は、初めに歯科医院でご自身の歯型からマウスピースを作成します。そのマウスピースに専用のホワイトニング剤を入れ、毎日30分から2時間、2週間に渡ってご自宅で装着します。
マウスピースの作成は歯科医院で行いますが、その後のホワイトニングはご自宅で手軽に行うことができるのも特徴です。
時間をかけて徐々に歯を白くするこの方法は、効果が持続しやすく、色戻りも少ないとされています。
オフィスホワイトニング
オフィスホワイトニングは、即効性のあるホワイトニングで、歯科医院にて行うものです。
この方法では、歯に特別な薬剤を塗り、光を当てて白さを引き出します。多くの場合、一度の施術で白さが実感でき、短期間での効果が期待できます。
特に、結婚式や重要なイベントの前に素早く歯を白くしたい方に適していますが、ホームホワイトニングと比較して色戻りが早いことがあります。
デュアルホワイトニング
デュアルホワイトニングは、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを組み合わせた方法です。
まず、オフィスホワイトニングで迅速に歯を白くし、その後ホームホワイトニングを用いてその効果を長期間保持させます。オフィスホワイトニングの速効性とホームホワイトニングの持続性を兼ね備えており、効果的に長く白い歯を維持することができます。
ホワイトニングの効果には個人差があります。使用する薬剤によっては知覚過敏の症状が現れることがあります。もし症状を感じた場合は、無理をせずにすぐに歯科医院で相談しましょう。
白くなりにくい歯の特徴
歯の状態によっては、ホワイトニングの効果が見込めない場合があります。
〇フッ素コーティングされている
フッ素が塗布してあると、ホワイトニングの薬液が浸透しにくいことがあります。
〇神経がない歯
虫歯などで神経が死んでしまっている歯の変色は、ホワイトニングで白くすることはできません。
〇テトラサイクリン
幼少期にテトラサイクリン系の抗生物質を服用したことによって変色した歯は、歯の内部にまでホワイトニングの液が浸透しないため、白くすることができません。
〇ホワイトスポット
歯の表面に白い斑点ができた状態です。この状態でホワイトニングをすると、この白い斑点がより目立ってしまうことがあるためお勧めできません。
〇加齢による黄ばみ
年齢を重ねることで黄ばんでしまった歯に対して、ホワイトニングをしても白くなりにくい傾向があります。エナメル質が薄くなり、内側にある象牙質が透けてしまっているからです。
ホワイトニングができない人もいる
ホワイトニングは、誰もが施術を受けられるわけではありません。以下の条件や状況を理解し、ご自身がホワイトニングを受けられるかを確認しましょう。
1、年齢制限
18歳以上の方が対象です。
2、健康状態
以下に該当する方は受けられない場合があります。
・虫歯がある
・歯周病が進行している
・知覚過敏が強い
・呼吸器に疾患がある
・エナメル質や象牙質の形成不全がある
・人工歯が入っている
・無カタラーゼ症※
※ホワイトニングに使用される薬剤、特に過酸化水素は体内で分解されにくいため、口内の粘膜が刺激されることがあります。これにより、粘膜の荒れや非常に稀ですが組織の壊死を引き起こすリスクがあります。
3、その他の注意点
妊娠中や授乳中の方にはお勧めできません。ホワイトニング薬剤は、胎児や乳幼児に影響を及ぼす恐れがあります。
自身の健康状態や条件に適しているかを歯科医師と相談してからホワイトニングを行うことをお勧めします。
ホワイトニングで使用する薬剤の特徴
ホワイトニングに使用される薬剤は、主に歯を漂白するタイプと汚れを落とすタイプの2種類に分けられます。それぞれの薬剤の使用には専門家の管理が必要です。
歯を漂白する薬剤
1、過酸化水素
オフィスホワイトニングで用いられる主要な薬剤で、エナメル質や象牙質に浸透し歯を白くする効果があります。この薬剤は薬事法により歯科医師と歯科衛生士のみが取り扱うことが許可されています。
2、過酸化尿素
主にホームホワイトニングで使用されます。過酸化水素と同様に歯を白くする効果がありますが、より低刺激であることが特徴です。これも歯科医院でのみ扱われ、一般の店舗での販売はありません。
3、酸化チタン
オフィスホワイトニングで使われ、過酸化水素と組み合わせて光を当てることで反応速度が高まり、効果的に漂白を促進します。
汚れを落とす薬剤
〇ポリリン酸、メタリン酸
これらは、歯の表面に付着した汚れを分解することを目的として使用されます。歯の内部には浸透せず、直接的に歯を白くするわけではありませんが、表面を清潔に保ち、漂白効果を向上させる助けとなります。
ホワイトニング薬剤の選択と使用には、専門的な知識と技術が必要です。興味がある方は、安全で効果的な結果を得るために必ず歯科医師に相談してください。
種類別のホワイトニングの持続時間
ホワイトニングの効果の持続期間は以下のように異なり、生活習慣に左右されます。
- ホームホワイトニング:約3〜6ヶ月
- オフィスホワイトニング:約6ヶ月〜1年
- デュアルホワイトニング:約1〜2年
効果を長持ちさせるためには、日常の習慣が重要です。以下のポイントに注意して、美しい白さを保ちましょう。
- 歯を定期的に磨いて、着色の原因となる汚れを除去する。
- 着色しやすい飲食物(カレー、コーヒー、お茶、ワインなど)を控える。
- 喫煙は歯の黄ばみを促進するため、できるだけ避ける。
- ホワイトニング効果をサポートする特殊な歯磨き粉を使用する。
さらに、柑橘系の食品や炭酸飲料のように酸性が強いものは、ホワイトニング効果に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの摂取にも注意しましょう。
日々のちょっとした習慣が、長期にわたってホワイトニングの効果を持続する鍵となります。
ホワイトニング前にしておきたいこと
〇虫歯・歯周病治療
ホワイトニングに使用する薬液によって知覚過敏が引き起こされる場合があります。
特に、虫歯や歯周病がある状態でホワイトニングを行うと、薬液が患部に浸透し、痛みを感じやすくなることがあります。そのため、事前に検診を受け、口内環境を整えてからホワイトニングを始めるようにしましょう。
〇歯石・着色除去
ホワイトニングを効果的に行うためには、最初に歯の表面の汚れを除去しておくことが不可欠です。プラークや歯石、着色が歯に付着していると、ホワイトニングの薬液がうまく浸透せず、期待される効果を得ることが難しいからです。ホワイトニングを始める前には、これらの汚れをしっかりと除去するようにしましょう。
専門的なクリーニングを受けることで、プラークや歯石はもちろん、歯の表面の着色もきれいに落とすことができます。歯の表面が清潔な状態でホワイトニングを行うことで、より明るく美しい白い歯を手に入れることが可能になります。
まとめ
ホワイトニングは誰でも適しているわけではありません。自分の歯がホワイトニング可能か、どのタイプがご自身に合っているのかを確かめる必要があります。疑問や不安があれば、小さなことでも良いのでぜひ一度歯科医院でご相談ください。
また、ホワイトニングをより効果的に行うためには口内環境を整えることが大切です。虫歯や歯周病の治療、そして歯石や着色の除去を事前に行なって、薬液が浸透しやすい状態にしましょう。