知覚過敏と虫歯の違いをチェック!症状と見分け方について
監修:歯科医師 安藤壮吾
「冷たい飲み物が歯にしみる」「甘いものを食べたらズキッと痛んだ」——このようなしみる症状や痛みは、知覚過敏か虫歯である可能性があります。どちらも似た症状が出ますが、原因や治療法には明確な違いがあり、しっかり見極める必要があります。
放置してしまうと大きなトラブルにもつながりかねません。今回は、知覚過敏と虫歯の違いを症状・原因・治療法などの観点からわかりやすく解説していきます。
知覚過敏とは?
知覚過敏とは、歯の内部にある象牙質が露出することで起きる症状です。
通常、歯の表面は硬いエナメル質や歯ぐきによって守られています。しかし、加齢や歯周病、強いブラッシング、歯ぎしり、酸性食品の摂取などが原因で、エナメル質が摩耗したり、歯茎が下がったりして象牙質がむき出しになると、刺激が神経に伝わりやすくなり、「しみる」「一瞬ズキッとする」痛みが生じます。
知覚過敏の主な原因には以下が挙げられます。
- 歯周病や加齢による歯肉退縮(歯茎が下がる)
- 歯ぎしりやくいしばり
- 強すぎるブラッシング
- 酸蝕歯(炭酸飲料や果物の酸による歯のダメージ)
- ホワイトニング後の一時的な刺激反応
虫歯とは?
虫歯は、虫歯菌がつくる酸によって歯が溶かされる病気です。口内に残った食べカスなどが歯垢(プラーク)となり、そこに潜む細菌が酸を生成します。その酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、進行すると象牙質、最終的には歯髄(神経)まで到達します。
虫歯の場合、初期段階は痛みを感じにくいですが、進行するとズキズキとした持続的な痛みや、噛んだときの違和感が現れます。
知覚過敏と虫歯の主な5つの違い
1. 痛みの性質
<知覚過敏>
一時的・一瞬のしみる症状、鋭い痛みを感じますが、すぐに収まります。
<虫歯>
痛みが持続します。温かいものもしみることがあり、物を噛む時や安静時にも痛みが伴う場合があります。
2. 見た目の違い
<知覚過敏>
歯の見た目に穴や黒ずみはありません。歯茎がさがって歯の根元が露出し、歯が長くなったように見える場合は歯肉退縮の影響の可能性があります。
<虫歯>
歯が黒ずんでいたり穴が空いていたり、白濁、茶色の着色など、歯そのものに明確な異変が見られることが多いです。
3. 自然治癒の可能性
<知覚過敏>
軽度であれば専用の歯磨き粉の使用などで症状が改善する可能性があります。
<虫歯>
自然に治ることはなく、放置すると悪化します。必ず歯科治療が必要です。
4. 原因の違い
<知覚過敏>
歯肉退縮や歯の摩耗などの外的要因。
<虫歯>
口内の細菌(ミュータンス菌など)が糖分を分解して酸をつくり、歯を溶かすことが要因。
5. 治療法の違い
<知覚過敏>
- 知覚過敏用歯磨き粉の使用
- コーティング材の塗布
- ナイトガードによる歯ぎしり対策
- 必要に応じてレジン(歯科用プラスチック樹脂)で補修
<虫歯>
- 虫歯の部分を除去し、詰め物を入れる
- 虫歯が進行している場合は根管治療や被せ物が必要になる
- 虫歯が初期段階ならフッ素塗布やブラッシング指導で経過観察することもある
自己判断は禁物!歯科での早期診断がカギ
「知覚過敏かな?」「虫歯かもしれない」と思ったときは、自己判断だけで見極めないようにしてください。特に初期虫歯は見た目に変化が乏しく、痛みも軽度なため、放置されやすい傾向があります。
また、知覚過敏の原因が歯周病や歯のひび割れである場合、放置することで症状が悪化していくケースもあります。
もし、あなたが繰り返し症状を感じているようなら、歯科医院で正確に診断をしてもらうことをおすすめします。
症状が気になったら歯科医院で相談を
知覚過敏と虫歯は、どちらも「歯がしみる・痛む」といった共通の症状を持ちながら、その原因・見た目・痛みの性質・治療法は大きく異なります。
症状を感じた時は「軽い症状だから大丈夫だろう」と放置せず、早めに歯科医院で診断を受けましょう。また、歯科の定期検診を受けていれば、初期段階で発見・対応でき、重症化を防ぐことができます。
もし、冷たいものがしみる、痛むという症状があるなら、お気軽に歯科医院へご相談ください。