歯肉炎は市販薬で軽減できる?すぐに歯医者へ行けない時の応急処置方法
監修:歯科医師 安藤壮吾
歯の周りの歯茎が赤く腫れる、「歯肉炎」になったことはありませんか?気になってもすぐに歯医者に行くことができない方も中にはいらっしゃるでしょう。この記事では、歯肉炎の応急処置や毎日の歯磨きの重要性、そして歯医者での専門治療についてお話していきます。
どうして歯肉炎は起こるのか
歯肉炎とは、歯の周りの歯茎が赤く腫れた状態のことを言い、その原因は様々です。そして、その原因に応じた適切な治療方法が必要です。
歯周病
歯肉炎が長引くと、細菌が増え、歯と歯茎の境目に歯周ポケットという隙間が形成されます。この隙間から細菌が侵入することによって炎症が内部にまで広がり、歯を支える骨(歯槽骨)が溶ける「歯周病」へと進行します。
この進行の主な原因は、ブラッシングで除去しきれなかったプラークです。
プラークは、付着した時は柔らかく、通常のブラッシングで簡単に除去することができます。しかし、時間が経過すると唾液と結合して硬い歯石へと変化し、歯ブラシでは落とせなくなります。さらに、歯周ポケットが深くなると、歯ブラシが届かない部分が生じ、ご自身でのケアが難しくなります。
このような状況を避けるためには、日常の歯磨きの際に、歯ブラシと併せてデンタルフロスや歯間ブラシを使うことが効果的です。また、定期的に歯科医院での専門的なクリーニングを受けることも大切です。
智歯周囲炎
親知らずの周りの歯茎が炎症を起こしている状態のことを、智歯周囲炎と言います。
親知らずが斜めや横向きに生えてくると、前の歯との間に隙間ができます。この隙間には歯ブラシが届きにくく、汚れが溜まりやすいため炎症しやすいです。
炎症が起きた場合は、その部分を洗浄し、薬で症状を抑える治療が行われます。しかし、親知らずの位置や生え方によっては炎症を繰り返してしまうことが多く、症状を根本的に改善するために、親知らずの抜歯が必要になることもあります。
市販薬の効果的な使い方
歯茎が炎症している時は、痛みや腫れなどの症状も見られることがあります。そのため、早めに歯科医院を受診し、適切な処置を受けることが大切です。しかし、仕事などの理由ですぐに歯科医院へ行けない場合は、薬局で購入できる痛み止めや抗生剤を服用することで、一時的に症状を和らげることができます。
その他、自宅でできる応急処置方法
ご自宅でできる応急処置として、お口の中を清潔に保つことをお勧めいたします。炎症を抑えるために、定期的に歯を磨き、うがいをして、口内を清潔にすることを心がけましょう。歯磨きによってプラークを除去することで、炎症が起きるリスクの減少にも繋がります。歯を磨けない時は、マウスウォッシュを使って大きな汚れを落とすことも効果的です。
歯肉炎は市販薬では治らない
市販薬では歯肉炎を完治させることはできません。炎症の主な原因は、プラークによる細菌です。市販薬は痛みや炎症を一時的に緩和することは可能ですが、これは根本的な解決にはなりません。炎症を防ぐためには、まず歯磨きをしっかりと行い、プラークや歯石を除去することが重要です。
症状が落ち着いたとしても歯科医院を受診しましょう
市販薬を使用すれば、一時的に症状を緩和することができます。しかし、原因を根本的に取り除いているわけではないので、症状が一時的に落ち着いても安心せずに歯科医院を受診しましょう。定期的なクリーニングを行うことで、炎症の原因となるプラークや歯石を効果的に除去し、健康な歯と歯茎を維持することができます。