歯ぎしりって治療が必要?治療の必要性と全身の健康への影響を紹介!
監修:歯科医師 安藤壮吾
「歯ぎしり」は、歯や顎だけでなく全身の健康にも影響を与えることをご存じですか?無意識に行われることが多く、放置すると顎関節症や肩こり、頭痛などを引き起こすことがあります。今回は、歯ぎしりの治療法やご自分でできる予防策について詳しく解説します。
夜間以外にも、日常的に「歯ぎしり」を繰り返していませんか?
歯ぎしりは、夜眠っている時だけでなく、日中も無意識に行っていることがあります。
例えば、仕事に集中している時や重いものを持っている時、考え事をしている時などです。無意識のうちに歯を食いしばっていた覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。歯ぎしりには以下の4つの種類があり、この食いしばりはそのうちの1つです。
〇グライディング
上下の歯を左右に強く擦り合わせるため、「ギリギリ」と音がします。周りに聞こえるほど音が大きい場合もあります。主に睡眠中、無意識下で行われることが多く、このために寝不足を感じることもあります。
〇クレンチング
力仕事やスポーツをしている時に見られるこのタイプは、上下の歯を強く食いしばっているのが特徴です。この状態は睡眠中にも続くことがあり、朝起きた時に顎などに疲労感を覚えることがあります。
〇タッピング
歯を上下に動かすことで歯が当たり「カチカチ」と音がします。歯が当たる強さは人によって異なります。
〇ナッシング
特定の歯だけをすり合わせるため「キリキリ」と音がします。
主に寝ている時に行うことが多く、特定の歯に過度の力がかかるため、その部分の歯がすり減ってしまうことがあります。
歯ぎしりのセルフチェック!いくつ当てはまりますか?
多くの方が無意識のうちに食いしばったり歯ぎしりをしたりしていて、ご自身では気がついていないことが多いです。以下のチェックリストを参考にして、ご自身が該当するかどうかを確認してみましょう。
- 家族やパートナーから「歯ぎしりしている」と言われたことがある
- 集中している時やストレスを感じている時に無意識に噛みしめている
- 歯が明らかにすり減っている
- 歯にヒビが入っていたり欠けていたりする
- 頬の内側に噛んだ傷や、舌に歯の跡がついている
- 朝起きたとき顎に疲労感や痛みがある
- 冷たいものがしみる
- 歯の根元が削れている
これらのいずれかに当てはまる場合、無意識下で歯ぎしりや食いしばりを行なっているかもしれません。これらの症状は、長期間放置すると歯や顎に重大なダメージを与えることがあります。心当たりがある方は、歯科医師に相談し、適切な診断と処置を受けることをお勧めします。
歯ぎしりは顎や顔、全身の健康と関連しています
歯ぎしりをすると、顎や歯に過度な力がかかり、治療した被せ物がすり減ったり、割れたりすることがあります。特にセラミックなどの材質でできた被せ物は、過剰な力によって割れるリスクが高まります。
影響はこれだけに留まりません。顎に継続的な負荷がかかることで顎関節症を引き起こしたり、顎の筋肉が発達することで顔の変形や歪みなどを引き起こしたりすることもあります。
さらに、特定の歯に力が集中することによって、エナメル質が剥がれ落ちて知覚過敏の症状が出ることもあります。また、歯への影響ばかりでなく、歯ぎしりが原因で肩こりや頭痛が引き起こされることも少なくありません。
歯科医院で行う歯ぎしりの治療方法とは?
意識して歯ぎしりを止めることはできないので、何かしらの方法で歯を守って行く必要があります。代表的な方法は、「マウスピースの使用」です。
マウスピースをつけて過ごすことで、マウスピースがクッションになり、顎への負担を軽減させることができます。歯ぎしりをしても、歯の代わりにマウスピースがすり減ることで歯を守ってくれます。
おうちでできる歯ぎしり対策のご紹介
歯ぎしりは、多くの場合ストレスや不安が原因であり、無意識のうちに行ってしまうものです。しかし、日々の習慣を見直すことでその影響を和らげることが可能です。
ストレッチや半身浴などでリラックスをしたり、ウォーキングなどを取り入れたりして、睡眠の質を良くすると効果的です。また、睡眠時は仰向けに寝るように心がけ、歯に余計な圧力がかからないようにしてください。
無意識にしてしまう歯ぎしりを完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、マウスピースの使用によって歯を守ることはできます。
もし、「歯ぎしりをしている」と家族から指摘された場合は、歯科医院でマウスピースを作成してもらうことをお勧めします。気になる症状があれば、早めに歯科医院を受診してお気軽にご相談ください。