唾液の量が少ないドライマウス。原因と予防策
監修:歯科医師 安藤壮吾
口の中が乾燥していると感じたことはありませんか?口が乾くと、食事を楽しめなかったり、会話がしづらくなったりと、日常生活に支障をきたすこともあります。このような症状は「ドライマウス」と言われ、単なる乾燥に留まらず、様々な問題に繋がる恐れがあります。
今回は、ドライマウスの原因とその予防法についてお話します。
「ドライマウス」の症状と原因
「ドライマウス」という言葉は耳にしたことがあるかもしれませんが、具体的な症状や健康への影響については知らない方もいらっしゃるでしょう。
実は、驚くべきことに、私たちの約4人に1人がドライマウスの予備軍とされています。
ドライマウスの症状として、以下のようなものが挙げられます。
- 口の中の乾燥
- 口の中がネバネバする
- 口臭
- 味覚異常
- 食べ物が飲み込みにくい
- 会話しにくい
- 口や舌がヒリヒリする
主な原因は
- 精神的ストレス
- 薬や治療の副作用
- 喫煙やアルコール
- 加齢による唾液の分泌の減少
- 口呼吸
- 糖尿病
などです。
ドライマウスは高齢者に多いイメージがありますが、実際には30〜40代の女性にも多く見られます。これは慢性的な唾液分泌量の低下が原因と考えられます。
ドライマウスは、虫歯や歯周病・口臭にも影響を及ぼす
唾液は単なる水分ではなく、私たちの健康にとって非常に重要な役割を担っています。年齢を重ねるにつれて、分泌量は減少し、70代では約3割減少すると言われています。
〇虫歯
唾液の分泌量が減少すると、虫歯になるリスクが高まります。唾液には、虫歯菌が生み出す酸を中和し、歯に付着した食べカスを洗い流す作用があるからです。唾液が不足するとこれらの効果が弱まり、その結果、虫歯が発生しやすくなります。
〇歯周病
唾液には、お口の中の細菌の増殖を抑制する効果もあります。唾液の分泌量が減少すると、この抑制効果が弱まり、歯周病の進行につながる恐れがあります。
〇口臭
口臭の主な原因は口内細菌です。唾液の量が減って口内の細菌が増えると、口臭が強くなることがあります。
〇潤い、保護
口の中は意外とデリケートです。唾液量が減って口内が乾燥すると、歯の摩擦などで粘膜が傷つく恐れがあります。
〇消化作用
水分の少ない食材を口にした時、唾液が分泌されることで飲み込みやすくなったり、胃腸の負担が軽減されたりします。そのため、唾液量が減ると食事や食物の消化に悪影響を及ぼす恐れがあります。
ドライマウスの改善のために唾液量を増やす方法
ドライマウスを改善するためには、唾液の分泌量を増やす必要があります。
〇唾液腺のマッサージ、舌を動かす
舌の下、顎の下、耳の下には唾液腺があり、マッサージして刺激することで唾液が出やすくなります。
また、マッサージに加えて、舌を動かす体操をすることでも同様の効果が得られます。
〇水分補給、保湿
喉の渇きは、体内の水分が不足しているサインです。そのため、日常生活で定期的に水分を摂取することが非常に重要です。また、口を閉じてマスクを着用することでも、口内の乾燥を防ぐことができます。
口内の乾燥が気になる場合には、水分補給に加えて、唾液の代わりとなる保湿剤や口腔内スプレーの使用も効果的です。これらは、薬局やドラッグストアで手軽に購入することができます。さらに、歯科医院でも取り扱っている場合があるので一度相談してみると良いでしょう。
〇よく噛む
梅干しやレモンなどの酸味のある食べ物は唾液の分泌を促進する効果があります。
また、食事の際に、食べ物をよく噛むことが重要です。しっかりと咀嚼することで唾液の分泌が促されるため、急がず、ゆっくりと時間をかけて食べることを心がけましょう。
食材選びにも工夫が必要です。噛み応えのある食材を選ぶことで、自然と咀嚼の回数が増え、唾液の分泌が促されます。また、忙しい時や外出時には、ガムを噛むことも効果的です。
まとめ
「ドライマウス」は、病気だけでなくストレスが原因でも起こります。
お口の中の乾燥は、虫歯や歯周病、口臭にもつながるため、もし気がついたら放置しないようにしましょう。ご自身でできる改善方法としては、マッサージや食事中の咀嚼に気をつけることなどが挙げられます。
ドライマウスは年齢に関係なく、今は若い方にでも増えています。ご心配な方は、お気軽にご相談ください。