抜歯後の穴にできる血餅とは?傷口を早く治すための注意すべきポイント
監修:歯科医師 安藤壮吾
皆さんは、抜歯をした後の穴がどのように治っていくのかご存じですか?
傷口に食べ物が詰まったり、ついつい凹んでいる傷口を舌で触ったり、気になってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか?実はその傷口を綺麗に早く治すためには「血餅(けっぺい)」が必要です。今回は、この血餅の重要な役割について詳しくお話ししていきます。
抜歯後の穴にできる血餅が傷口を治す
抜歯をした部分にできる血餅とは、いわゆる血の塊で、かさぶたの役割を果たしています。抜歯をすることによって骨が露出した部分に血餅ができることで、露出部分を塞いでくれます。また、出血も抑え、それによって傷口が治っていきます。
抜歯後の穴に血餅ができるまでのプロセス
抜歯後、歯茎が完全に治るまでには、通常1ヶ月から最大で半年程度かかります。
完全に傷口が塞がるまでには、半年から1年程度必要です。
では、抜歯後、血餅はどのようにして形成され、傷口は治っていくのでしょうか。
- 抜歯した穴に血が溜まり、時間と共に徐々に固まって血餅ができます。
- 3〜4日で歯茎の再生が始まり、抜歯した部分の周りから新しい歯茎が成長し始めます。 ※初期の段階では穴は完全に塞がっていないため、無意識に触れないよう注意しましょう。
- 1週間ほどで血餅は肉芽組織に変わり、たとえ血餅が剥がれても骨が露出することはありません。
- 半年から1年ほどで、歯茎や骨が元の状態に戻ります。
血餅ができないせいで起こるトラブル
- 血餅がうまく形成されない
- 何らかの原因で血餅が取れてしまう
これらの問題は、傷口の適切な治癒を妨げ、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。
ドライソケット
抜歯後、抜歯した部位の骨が露出して空気や細菌にさらされるとことによって、激しい痛みや炎症を引き起こすことがあります。これをドライソケットと言います。
ドライソケットは、通常抜歯後に作られるはずの血餅が、何らかの理由でうまく作られなかったり、早期に取れてしまったりすることで生じます。
特に、抜歯後1週間以上経っても歯茎の痛みが続く場合、ドライソケットが原因かもしれません。ドライソケットの症状がみられた場合は適切な治療が必要です。再度、出血させ血餅を作る処置を行うことがあります。
出血
抜歯直後は一般的に出血を伴いますが、時間の経過とともに自然に治まります。これは血餅が形成され、かさぶたのような役割を担うためです。
血餅とは、血液が固まってできた塊のことで、初めはドロっとしており、多少の出血が続くことがあります。しかし、この過程で何度も口をゆすいでしまうと、血餅がうまく形成されずに出血が止まらないことがあるのです。
出血時には、該当部分に丸めたガーゼを当ててぎゅっと噛み、圧迫止血をすることが効果的です。それでも出血が止まらない場合は、すぐに歯科医院を受診するようにしましょう。
また、血液をサラサラにする薬を服用している方は、一時的に服用をやめた方がいい場合もあるため、抜歯前に必ず歯科医師とご相談ください。
血餅が取れないようにするために気をつけること
血餅が取れてしまうのを防ぐためには、以下の点に注意してください。
1、激しいうがいを避ける
うがいは血が固まることを妨げる原因となります。特に激しいうがいは、血餅が取れやすいため避けてください。
2、歯ブラシでの刺激を控える
抜歯した部分は特にデリケートです。心配で触りたくなるかもしれませんが、血餅が取れることを防ぐためになるべく歯ブラシなども当てないように気を付けましょう。
3、血行が良くなる活動を控える
激しい運動や飲酒、長風呂は、血行が良くなるため血餅ができにくくなる可能性があります。また、喫煙は血流を悪化させ、血餅の形成を妨げるため、抜歯後は控えることが望ましいです。
4、硬い食べ物を控える
抜歯後の傷口に刺激を与えないためにも、硬い煎餅や刺激の強い食事は避けることをお勧めします。柔らかい食事を心がけてください。
抜歯後の穴を早く治すには血餅が大切
抜歯後にできる「血餅」は、傷口の治癒に非常に重要な役割を果たしています。
しかし、出血を見てしまうと、つい何度もお口をゆすぎたくなるものです。それが原因でドライソケットや出血が止まらないといったトラブルが発生することがあります。
抜歯した部位を早く健康な状態に戻すためには、注意事項を守ることが大切です。