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「歯肉炎」は歯周病の初期症状。歯茎が腫れる原因とは?

公開日:

監修:歯科医師 安藤壮吾


歯茎に赤みや腫れ、出血はありませんか?もしあったら、それは歯肉炎の症状である可能性が高いです。
お口の中にプラークが蓄積すると、歯茎が炎症して腫れや出血が発生します。気づかずにそのまま放置すれば、歯周病の重症化に繋がりかねません。

しかし、歯周病は早い段階で正しい処置とケアを行えば、元の健康な歯茎に改善することができます。

今回は、歯肉炎と歯周炎の違いや歯肉炎の原因、治療方法と予防、対策などについてお伝えします。


「歯肉炎の歯茎」と「健康な歯茎」との違い

歯肉炎とは、歯茎が赤く腫れた状態で、出血を伴うことがあります。症状に気づきやすいため、健康な歯茎との違いがわかりやすいです。

●「健康な歯茎」と「歯肉炎に罹患した歯茎」の違い

<健康な歯茎>
・色の違い:薄いピンク
・見た目:引き締まっている
・形態:歯間部分の歯茎が尖った形をしている
・出血の有無:無し

<歯肉炎に罹患した歯茎>
・色の違い:赤みが強い
・見た目:ぷくっと膨れている
・形態:歯間部分の歯茎が丸みを帯びている
・出血の有無:歯ブラシなどがあたると出血する

鏡を見てご自身の歯茎をチェックしてみましょう。歯茎が赤かったり、腫れて丸みを帯びていたり、歯ブラシに血が付着している場合は、歯肉炎の可能性が高いです。

歯肉炎は歯周炎の初期段階の状態で、大きな痛みを感じることがないため気づきにくいです。早めに気づいて対策すれば元の健康な状態に治すことができますが、気づかず放置してしまうと歯周炎に進行するおそれがあります。

「歯肉炎」と「歯周病」の違いは「歯槽骨の状態」

歯肉炎と歯周病は名前も症状も似ていますが、実は大きな違いがあります。それは、歯を支える骨「歯槽骨の状態」です。

〇歯肉炎について
歯周炎の初期段階で、歯茎が赤く腫れて炎症を起こし、出血を伴うことが多いです。

歯の周りには歯茎があり、その内部には歯を支える骨(歯槽骨)などの歯周組織があります。歯茎のみに炎症がみられるのが「歯肉炎」で、歯肉炎が進行して歯茎より内部まで炎症が拡大し、歯槽骨にまで悪影響を及ぼしている状態を「歯周炎」といいます。

歯肉炎は、正しいやり方でケアを行うことで、元の健康な歯茎の状態に改善できます。

〇歯周炎について
「歯肉炎」が進行し、炎症が歯茎内部まで広がって骨が徐々に溶ける状態を「歯周炎」といいます。

歯は、歯茎の内側にある骨(歯槽骨)に支えられています。骨が溶けるということは、歯にとっては支えが無くなるということです。そのため、歯周炎が重症化すると、支えを失った歯はグラグラ揺れてきて、最悪の場合、自然と抜け落ちてしまうことがあります。

溶けて吸収された歯槽骨は元に戻すことが難しいため、歯周病治療は炎症を抑え進行を防ぐことが大切です。

歯肉炎で歯茎が腫れる原因について

〇プラーク(歯垢)
歯肉炎の主な原因は、プラーク(歯垢)です。プラークとは、歯の表面に付着している、白~黄色っぽい小さな塊です。爪で掻くと簡単にとれます。プラーク1mg中には、300種類、1億個もの細菌が存在します。

歯と歯茎の間には、歯肉溝(しにくこう)と呼ばれる小さな溝がありますが、その部分にプラークが蓄積すると、細菌感染を起こして歯茎が腫れ、歯肉溝が深くなり歯周ポケットが形成されます。その状態で放置してしまうと、歯周ポケット内部にもプラークが蓄積し、歯茎内部で細菌感染が広がります。

〇歯石
プラークと唾液に含まれるカルシウム成分などが結びつくと、プラークが徐々に固まって歯石ができます。
歯石は、歯磨きでは簡単に除去することができません。

また、歯石の表面はザラザラしていてプラークがより付着しやすく、歯肉炎の進行に繋がりやすいです。そのため、歯科医院で専用の器械を使用して、歯ブラシが届かない歯周ポケット内部のプラークや歯石を除去してもらうことが必要です。

〇悪い歯並びや咬み合わせ
歯並びや咬み合わせが悪いことを不正咬合と言います。歯と歯が重なっていたり、歯が傾いたりしていると、一生懸命歯磨きしても磨き残しが発生しやすいです。

また、過去の治療で被せ物や詰め物が付いている歯は、歯との境目にプラークが付着しやすく、そこから細菌が入り込んで気づかないうちに虫歯になってしまうことがあります。

まずは、正しい歯磨きのやり方を身につけましょう。歯ブラシ以外にも、フロス(糸ようじ)やワンタフトブラシ、歯間ブラシを使用していただくと効果的です。歯科医院では歯磨き指導を受けることもできるため、使い方がわからない場合は相談してみることをお勧めいたします。

〇口腔乾燥症(ドライマウス)
口の中のネバつきや、口臭の悪化などの症状がある場合は、口腔乾燥症が疑われます。口腔乾燥症と歯肉炎との繋がりには、唾液の役割が大きく関係しています。

唾液には、「抗菌作用」(唾液に存在する免疫グロブリンや抗菌成分が感染リスクを軽減する働き)、「自浄作用」(唾液の循環により歯に付着した汚れを流す働き)があります。
口の中が乾燥すると、唾液の循環が激減し、唾液の作用が低下することでプラークが蓄積しやすくなります。プラークは細菌の温床です。つまり、唾液量の低下は細菌の増加に繋がると言えます。

口腔乾燥症は、口呼吸や喫煙、ストレス、睡眠不足、薬の副作用、お酒の飲み過ぎ、加齢などが原因で引き起こされやすいです。

〇栄養不足
栄養は、体の免疫力を高め、粘膜の再生や組織を修復する働きを担っています。体の栄養素が不足すると、歯茎にも影響を及ぼします。
歯茎を強くする主な栄養素は、ビタミンC、鉄、タンパク質です。

ビタミンCは、歯茎の中に存在するコラーゲン線維を生成する働きがあり、組織と組織の間に十分なコラーゲン線維が存在することで、腫れや出血が起こりにくくなります。
コラーゲンはタンパク質の1種で、歯周組織の生成に役立ちます。
鉄分については、不足すると貧血状態になり、体の免疫力が低下することで歯茎が細菌感染して炎症が起こりやすくなります。

歯茎を健康に保つには、お口のケアはもちろん、ビタミン・ミネラルも意識したバランスの良い食事を心がけることも大切です。

〇ホルモン状態の変化
特に女性は、生理時期や妊娠などでホルモン状態が変化しやすいため、歯茎の炎症が引き起こされやすいです。生理時期や妊娠中はプロゲステロンやエストロゲンと呼ばれるホルモンの分泌が上昇することで、歯茎が腫れやすくなります。そのため、妊娠中に起こる歯肉炎を「妊娠性歯肉炎」とも言います。

また、つわりで歯磨きができないことも、歯肉炎や歯周病を引き起こす原因として挙げられます。
つわりが辛い時はマウスウォッシュを使用し、つわりの症状が落ち着いている時にヘッドが小さめの歯ブラシやフロス、無香料の歯磨き粉などを使用して、なるべく無理のないように歯磨きをしていただくと良いでしょう。

安定期に入ってから、歯科医院を受診してクリーニングなどを受けていただくことも、歯肉炎や歯周炎、虫歯の予防に繋がります。

歯肉炎が危険な理由とは?

歯肉炎のやっかいな点は、大きな症状が出にくいことです。歯肉炎が歯周病に進行しても目立った症状は出ず、気づいた時には重症化していたケースも少なくありません。

また、歯肉炎や歯周病の原因となる歯周病菌は血流にのって運ばれ、全身にも影響を及ぼすことがあります。

症状が出にくいため見過ごしやすい

歯肉炎は、大きな痛みを感じることがありません。症状があっても、歯ブラシがあたって少し痛む、うがいする時にわずかに血が混じる、イジイジ違和感があるというような感じで、受診するほどではないと判断される方が多いようです。

しかし、歯肉炎は適切なケアを受けず放置してしまうと、進行し歯周病になってしまうことがあります。
歯周病も大きな症状が出ずに進行していくので、歯茎の痛みや膿の放出、歯がぐらつくなどといった症状に気づいた時にはすでに歯周病が重症化している可能性があります。
歯周病で歯槽骨が溶けて失われた部分は、歯周病治療により炎症を抑えることはできても、歯槽骨を元に戻すことはできません。

重症化すると全身に影響を及ぼすことがある

歯周病は、歯だけでなく全身に影響を及ぼすことがあります。歯周病菌が血流にのって全身を巡ることで、心臓や脳の血管を詰まらせる原因になるという報告もあがっています。
また、妊娠中に歯肉炎や歯周病にかかっていると、早産・低体重児になるとも言われています。
他にも、お口の中の細菌が増殖した状態でうまく飲み込みができないと、肺や気管に細菌が入り込むことで誤嚥性肺炎のリスクも高まります。

歯や歯茎に少しでも違和感を感じた際には、歯科医院を受診しましょう。早期に病気を発見し、必要な場合には早期に治療を始めることができるため、治療の効果が出やすいです。

歯肉炎・歯周病を改善するには?治療後の再発を防ぐ!

歯肉炎は、治療を行うことで元の健康な歯茎に改善できます。
歯周炎の場合、失われた歯槽骨を元に戻すことは難しいですが、歯茎の炎症を抑え進行を防ぐことは可能です。
歯肉炎や歯周病は、再発しやすい病気でもあるので、治療後は引き続き予防対策を行いましょう。

歯肉炎の治療方法と予防対策

【治療方法】歯科医院による専用器具でのクリーニング

歯肉炎になると、歯と歯茎の間に歯周ポケットが形成されやすいです。歯周ポケットの内部にもプラークは蓄積しますが、歯ブラシの毛が届きにくいため除去しにくく、歯科医院での専門的なお掃除が欠かせません。

歯科医院では、超音波スケーラーなど専用の器具を使ってプラークや細菌、歯石などの除去を行い、歯茎の炎症を改善することができます。1回の治療で治らない場合でも、定期的にクリーニングを受けていただくと、徐々に炎症は治まっていきます。
歯石の付着が多い場合は、数回に分けて部分的に歯石の除去を行います。 

また、クリーニング時に、正しい歯磨きの方法についてアドバイスを受けることもできます。

歯科医院は痛みが出てから行く場所というイメージがあるかもしれませんが、現在は予防に力を入れている歯科医院が非常に多く、歯や歯茎に違和感を感じた場合でも丁寧に対応してもらえるケースがほとんどです。
歯茎や歯に気になるところがあれば、一度、受診して診てもらうことをおすすめします。

【予防対策】ご自身で正しいケアを行うこと

歯肉炎の改善や予防には、自宅での毎日のケアが不可欠です。歯と歯茎や、歯と歯の間の細かい部分に付着したプラークを磨き残さないようにすることが大切です。

歯磨きの際には、歯ブラシの毛先を真横より45度に傾け、斜め上から歯と歯茎の間にあてましょう。そして、歯2本分の間隔で10回ずつ小刻みに磨くと、歯と歯の間に歯ブラシの毛先が入りやすいです。
歯ブラシは、力を入れて押しつけると毛先が開いてしまって洗浄効果が落ちます。歯ブラシの毛が立つくらいの力加減で磨くようにしましょう。

また、歯ブラシと清掃補助用具を併用すると、磨き残しが発生しにくくなります。
歯と歯の間にはフロス(糸ようじ)、歯と歯の間の隙間が広い方は歯間ブラシ、親知らずなどの届きにくい部分や歯と歯が重なっている部分にはタフトブラシなどを使用するのがおすすめです。

歯ブラシを当てると歯茎が痛む場合は、毛先が細いシステマタイプの歯ブラシを使用すると良いでしょう。正しい歯磨きを2週間~1ヶ月くらい続けると、歯肉炎が改善して元の健康な歯茎に戻っていきます。

歯肉炎や歯周病は、1度治っても再発しやすい病気です。歯科医院で定期的に歯石やプラークを除去し、自宅で正しいケアを毎日行うことが予防に繋がります。

歯肉炎対策ではお口の環境や生活習慣の改善も大切

唾液の分泌を促してお口の環境を整えたり、生活習慣を改善して体の免疫力を高めたりすることも、歯肉炎対策に効果的です。

〇唾液量を増やす
お口の中の唾液量が増えると、唾液が持つ「抗菌作用」や「自浄作用」が働き、プラークが蓄積しにくくなります。
唾液量を増やすには、唾液を分泌する唾液腺「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」を刺激すると効果的です。

耳下腺は上の奥歯付近にあり、親指以外の指4本をあてて後方から前方にゆっくり回しながらマッサージします。顎下腺は、下顎の骨の内側の柔らかい部分を親指で両側から、舌下腺は、親指同士を揃えて顎先内側の軟らかいところを押すようにマッサージします。それぞれ10回ずつ行うと効果的です。

お薬を服用されている方は、薬の副作用で唾液の分泌が低下することもあります。お口のねばつきや、歯茎の腫れや虫歯を繰り返してしまう場合は、医師あるいは歯科医師に相談してみましょう。

〇お口の体操も効果的
お口の体操を日々の生活に取り入れると、唾液の分泌が促されるだけでなく、お口周りの筋肉が鍛えられて顔の印象が変化します。
簡単にできるのは「あいうべ体操」です。

  1. 「あー」と口を大きく広げてそのままの状態を1秒間保つ
  2. 「いー」と口を大きく横に開いてそのままの状態を1秒間保つ
  3. 「うー」と口を小さくしてそのままの状態を1秒間保つ
  4. 「べー」と舌を思いっきり出してそのままの状態を1秒間保つ

1~4を10回1セットとし、1日3回程行うと効果的です。
咀嚼回数を増やすことも唾液の分泌に繋がります。厚生労働省は1口30回咬むことを推奨しているので、お食事の際はしっかりと咀嚼するように心がけましょう。

〇生活習慣を見直す
生活習慣が乱れると、体の免疫力が低下するため歯肉炎にもかかりやすくなります。生活習慣を見直し、十分な睡眠、栄養バランスの良い食事、適度な運動を心がけ、なるべく体の免疫力を高められるように心がけましょう。

喫煙は、ニコチンの作用により血管が細くなり血流が悪くなる作用があります。歯茎の細菌に対する抵抗力が低下し歯肉炎や歯周病にかかりやすくなるため、喫煙はなるべく控えるようにしましょう。

歯科医院を受診するタイミングの目安

歯医者を受診するタイミングに迷うことはありませんか?我慢できないような痛みであれば、迷うことなく歯科医院に連絡して受診するでしょう。
しかし、日常生活に支障ないような違和感であれば、多くの方が歯科医院を受診するタイミングを逃してしまいがちです。

  • 歯磨きの際に継続して出血が続く
  • 歯茎が腫れ、赤くなっているあるいは紫がかっている
  • 口臭の悪化を感じた
  • 歯のグラつきを感じた
  • お子さんの歯茎に腫れや赤みがある、歯磨きの際に痛がる

などの症状を、歯科医院を受診するタイミングの目安にしてください。

歯肉炎対策は毎日の正しいケアが一番大事!ご相談は当院へ

歯肉炎は、進行すると歯周病になってしまう危険性があります。しかし、早めに気づいて適切な処置や対策を行えば、もとの健康な歯茎に改善することができます。
手鏡でお口の中をチェックをするだけでも、歯茎の赤みや腫れに気づきやすくなるため、歯肉炎対策として効果的です。

お子さまの場合も、仕上げ磨きと同時に歯や歯茎のチェックもしてみましょう。
特に、生え換わりの時期で歯が抜けた隙間や、歯が生えかけの部分は、プラークが蓄積しやすく歯肉炎になりやすいです。少しでも気になる症状がある場合は歯科医院を受診しましょう。

当院では予防にも力を入れているため、どのような症状に対しても丁寧に対応させていただきます。ご自宅でのケアも、歯磨きのやり方はもちろん、おすすめの清掃補助用具などのご相談も可能です。

歯肉炎は、正しくケアできれば、将来的なリスクを大幅に減少させることができます。まずは一度ご相談ください。ご来院お待ちしております。

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